FIREの目的とは何か?
近年、「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」という言葉が広く知られるようになりました。
経済的に自立し、早期退職を実現して、自由に生きる。
それは夢のようであり、SNSやメディアでも憧れのライフスタイルとして盛んに取り上げられています。
しかし、そもそも なぜFIREしたいのか?
この問いを自分自身に投げかけると、多くの人は少し考え込むはずです。

時間を気にせず旅行したいから

好きな時に好きな場所で働きたいから
これらは「〜という夢を叶えたい」といった“プラスの動機”になります。
けれど実際にFIREを強く望む人の心の奥には、 “マイナスの動機” が潜んでいることも多くあります。
「職場の人間関係に耐えられない」
「プレッシャーやノルマから逃げ出したい」
「満員電車にこれ以上乗りたくない」
そして、このマイナスの動機はプラス以上に強く作用するものです。
つまり「〜したい」よりも「〜したくない」が、私たちを強く突き動かしているのです。
人間は「プラス」よりも「マイナス」に敏感
心理学の分野には「損失回避バイアス」という概念があります。
これは「人間は利益を得ることよりも、損失を避けることの方に強く反応する」というものです。
例えば、給料が1万円上がった喜びよりも、給料が1万円下がったショックの方が大きい。
同じように、「人から褒められる」よりも「人から嫌われる」のを避けたい気持ちの方が圧倒的に強い。
FIREを望む心理も同じです。
「自由に海外旅行したい」というプラスの動機よりも、
「もう二度と上司の顔を見たくない」
というマイナスの動機の方が、実はずっと強い推進力を持っています。
マイナス動機はダメなのか?
では、マイナスの動機でFIREを目指すことは「間違い」なのでしょうか?
答えは NO です。
嫌なことを避けるために行動するのは、至極自然な人間の本能です。
むしろ「嫌だ」という感覚を無視してプラスの動機ばかり追い求めてしまうと、自分の本音を置き去りにしてしまいます。
たとえば、毎日胃が痛くなるほどの人間関係に耐えながら「いつか世界一周旅行がしたいから我慢する」というのは、本末転倒です。
「嫌なことをやめる」からこそ、自分の心に余裕が生まれ、その余裕で新しいチャレンジをすることができるのです。
会社の人間関係が嫌でFIREを考える人へ
FIREを目指す人の多くは、会社という組織に疲れています。
- 気の合わない上司や同僚との毎日
- 無駄に長い会議や報告書
- 飲み会や社内イベントの強制参加
「そんなことも割り切れないの?」と周囲は言うかもしれませんが、人間関係のストレスは仕事そのもの以上に心を消耗させます。
実際、厚生労働省の調査でも「仕事を辞めたい理由」の上位には常に「人間関係」がランクインしています。
つまりこれは、個人のわがままではなく、多くの人が抱える共通の苦しみなのです。
また、人間関係において理不尽な目に遭った時、逃げたい・辞めたいと思うことはありませんか?
他の人のミスは許されるまたは自分のせいになるのに、自分の時だけどうしてと人間不信になったり。
人間関係における理不尽については、別の記事で詳しく紹介しています↓
FIREは「逃げ」ではなく「戦略」
よく「嫌だから辞めるのは逃げだ」という声を耳にします。
しかし、それは表面的な理解に過ぎません。
嫌なことをやめるのは逃げではなく、自分の人生を守るための戦略 です。
体を壊してからでは遅いし、心をすり減らしてからでは回復に時間がかかります。
むしろ「嫌なことから離れる」ことは、勇気ある選択です。
そして、離れることで初めて、自分の中にスペースが生まれます。
そのスペースに「新しい学び」や「挑戦」を入れ込むことができるのです。
嫌なことをやめた後に訪れるプラス
嫌な職場から解放された後、人は不思議と新しいエネルギーを取り戻します。
- 朝、目覚まし時計に怯えずに起きられる
- 心の中に余裕ができて、家族や友人に優しくなれる
- 新しい趣味や学びに挑戦する気持ちが湧いてくる
これは「FIREで自由にやりたいことを見つける」というよりも、
「嫌なことがなくなったからこそ、自然にプラスが生まれてくる」という順序です。
つまり、FIREは“嫌なことをやめる”というマイナス動機から始まり、
最終的には“好きなことを楽しむ”というプラスの結果にたどり着くのです。
FIREの本質は「自分の基準で生きること」
突き詰めると、FIREの本質は「自分の基準で生きること」です。
会社に縛られ、人間関係に消耗し、誰かの価値観に合わせる毎日から抜け出す。
「いい名前の会社で働く」「いい名前の大学に入るための勉強」こう言った本質から外れた周りからの賞賛や色眼鏡を軸とした動機から外れる。
自由な生き方、多様性といった言葉が謳われてしばらく経ちますが、現実はまだまだ学歴や働いている会社名で対応を変えてきたり重要視する発言をする人はまだまだ多くいます。
そういった人たちに振り回されずに本当に自分軸で生きていく。
そのための手段がFIREであり、そこにマイナス動機が含まれていても全く問題はありません。
むしろ大切なのは、自分が何を望んでいないかをはっきりさせること。
そこから「本当にやりたいこと」が浮かび上がってくるのです。
まとめ:FIREは「嫌なことをやめる哲学」
「なぜFIREしたいのか?」という問いに、立派な理由は必要ありません。
- 職場の人間関係が嫌だから
- プレッシャーから逃げたいから
- 満員電車にもう乗りたくないから
こうしたマイナスの動機であっても、それは立派な理由です。
嫌なことをやめることで心の余裕が生まれ、その余裕が新しい人生を切り開く力になるのです。
FIREとは単なる「早期退職のテクニック」ではなく、
「嫌なことをやめて、自分の基準で生きるための哲学」 なのかもしれません。
